もし入院や手術が必要になったとき、保証人をお願いできる人はいるでしょうか?
結婚して子供がいて友人が多いような人ならば問題ないでしょうが、独身で子供がいなくて友人がいないような人にとっては、入院する際に求められる保証人をどうするかは、深刻な問題です。
この記事では入院保証人が必要な理由や、保証人が見つからない場合はどうすればいいのかについて解説していきますので、読んでおくといざというとき役に立つかもしれません!
入院するには保証人が必要
これまで病気や大怪我などとは無縁だった人はご存知ないかもしれませんが、病気や事故などで入院や手術が必要になった際には、入院や治療を受けるにあたり「保証人」が必要です。
病院によっては保証人を2名求めるところもあります。保証人が2名必要な場合は、1名は別世帯を条件としているところが多いです。
保証人を1名つけたうえで緊急連絡先を別途求められる場合もあり、保証人に関する内容は、病院によって若干の違いはあります。
また手術のときには、付き添い人を用意するように言われることも。
数年前に私の父親が入院・手術をした際には、付き添う人がいないと手術できないと言われました。私も母も弟も父親に対して良い感情は持っていないため、付き添いを断わったところ、父は自分の兄に付き添いを頼んだようです。
このように入院・手術をするには「保証人」と、病院によっては「付き添い人」も必要となるため、独身・子無しの身で親や兄弟が他界してしまうと、入院・手術が困難になると予想されます。
おひとり様には厳しい現実ですね。
参考までに付け加えておくと、入院する際には通常「入院保証金」が必要です。退院時に精算されますが、入院保証金の額は5~10万円くらいが相場なようです。
入院保証金はクレジットカードでの支払いができず、現金払いのみといった病院もあるため、事前に現金を用意しておくとよいでしょう。
入院保証人が必要な理由
近年では子供のいないご夫婦や独身者が増加傾向にあり、入院時の保証人を頼める相手を見つけられずに、苦労するかたが増えています。特に一人っ子で独身となると、保証人を見つけるハードルはだいぶ高そうですね。
少子高齢化が進み加えて未婚率が増加している現代において、入院保証人を見つけるハードルは上がっているというのに、なぜ病院側は保証人を求めるのでしょうか。
病院によって多少の違いはあるかもしれませんが、病院が保証人をつけたがる理由は、概ね以下の通りです。
●患者本人だけでは話を理解できない場合もあるので、病気の説明や治療方針などを一緒に聞いてくれる人がほしいから
●着替えや歯ブラシやタオルなど、入院中に必要となる備品を用意してほしいから
●手術中に予期せぬ出来事が起きた場合に備えて、手術に立ち会ってほしいから
●容態の急変などに備えて、緊急連絡先を確保しておきたいから
●患者本人が支払いできなかったとき、病院代を踏み倒されないために、代わりに支払ってくれる人を確保しておきたいから
●もしものときには病院に駆けつけてもらい、ご遺体を引き取ってもらいたいから
どれも納得の理由といった感じですよね。
普段は「1人のほうが気楽でいいわ~」なんて言ってる人でも、入院をするような事態に陥ったときばかりは、そうも言ってられません。
「おひとり様」という言葉が定着しつつある現代ですが、それでも結局のところ人間は、1人では生きていけない生き物なのだと痛感します。
入院保証人がいない人はどうすればよいのか?
病院側の言い分はわかるものの、入院保証人をどうしても見つけられない人は、どうすればよいのでしょうか。ここでは3つの対応策について解説します。
①クレジットカード番号を登録する
クレジットカード番号を登録し、支払い方法の選択をクレジットカードにすれば、
保証人は求めない病院もあるようです。
クレジットカード払いにすることで、患者本人ではなくカード会社に請求できることから、病院側としては未回収のリスクを回避できます。
クレジットカード番号の登録により入院保証人なしでもOKになるケースは、少子高齢化や未婚率の増加を受けて、今後増えていくのではないでしょうか。
保証人が見つけられない場合は、クレジットカード番号を登録することにより、保証人不要となる病院を探すことは、対応策の一つといえます。
この件に関して詳しく記載されている総務省の資料がありますので、気になるかたはこちらもご覧ください。
②ソーシャルワーカーに相談する
「患者支援室」や「入退院相談センター」など、病院によって窓口の呼び名は違いますが、不安に思ったことや困ったことは、まずはソーシャルワーカーに相談してみることを推奨します。
例えば療養中の心理的・社会的問題の解決や、経済的問題の解決・調節や援助。退院に関してや社会復帰のための援助など、さまざまなサポートを行ってくれます。
そして「身元保証人がいないことを理由に入院を拒否することは、医師法違反になる」ことを、覚えておくとよいでしょう。
この件に関しては、平成30年4月27日に厚生労働省が通知を出しています。
「この通知があるから保証人なしでもOK」と、すんなり事が運ぶわけではないにしても、覚えておくと病院側と交渉する際に、有利になるかもしれません。
③保証人代行業者を利用する
一般社団法人や保険会社など、入院保証人サービスを提供している業者があるので、そういったところを利用する人も増加しています。
入院時の保証人だけでなく、手術の付き添いや診察に立ち会い、一緒に話を聞いてくれるようなサービスを提供しているところもあります。
また亡くなった後には遺体を引き取り葬儀をおこなったり、年金の停止手続きをしたり、家や家財道具の処分などをおこなったりと、独り身でも安心して最期を迎えられるよう、それぞれの業者ごとにさまざなサービスを提供しています。
ただこういったサービスを受けるにはそれ相応の費用がかかるため、皆が皆、こういったサービスのお世話になれるわけではないところに、世の中の世知辛さを感じますね。
生活保護があれだけ手厚いのだから、頑張って年金を納め続けた人には、老後の支援がもう少しあってもいいと思うのですが・・・。
あと加えて申し上げておきますと、入院保証人や老後の生活支援を提供している業者の中には、利用者が支払ったお金を不正に利用する悪質なところもあるようです。「日本ライフ協会」の事件などは、耳にしたことがあるかたも多いのではないでしょうか。
せっかく高い費用を払ったのに業者が倒産してサービスを受けることができず、挙句に支払ったお金が返ってない。こうなってしまっては老後の生活が台無しになるので、どの業者に依頼するかは、慎重に検討せねばなりませんね。
入院保証人代行や終活サービスを誰もが安心して使える世の中に!
入院保証人が必要な理由、入院保証人が見つからない人はどうすればいいのかについて説明してきました。
①クレジットカード番号の登録で入院・手術できる病院を探す
②ソーシャルワーカーに相談してみる
③保証人代行業者を利用する
保証人が見つからない人は、上記の方法を検討してみてはいかがでしょうか。
ただ入院・手術を乗り切ったとしても、その後の通院の付き添いや、生活支援が必要になる場合もありますし、死後の対応をどうするかの問題も出てきます。
入院・手術の付き添いや闘病中のお世話、老人ホームへの入居の手助けや死後の対応など、これまで家族が担ってきたそれらを、家族だけで行うことは困難な時代に突入しています。
独身者や子供のいない夫婦が増えた時代背景にともない、これまでの家族だけで対応する形から、社会全体で対応する形へと、変化しなければならない時期に来ているのではないでしょうか。
入院保証人やおひとり様への老後サービスの需要は増していますが、まだまだ行政の管理や支援が行き届いておらず、契約内容や料金形態などは、業者任せとなっているのが現状です。
高齢化社会が加速している今、誰もが安心して必要な医療やサービスを受けられるよう官民が一体となり、社会全体で保証人や終活サービスの仕組みを作っていくことは、急務だと感じます。
長い人生を辛いことも乗り越えて頑張って生きてきたのに、老後が不安に満ちているなんて残酷すぎます。おひとり様だって税金を払って社会貢献してきたのだから、安心して老後を迎える権利はあるはずです。
助け合いの気持ちと思いやりは、超高齢化社会を乗り切る上で、欠かすことのできない重要な要素といえるでしょう。最後に人を救うのは、お金ではなく人間だと信じたい!
それでは今日はこのへんで。コノハでした。